ドコモの社長交代、NTTコムが移管したら“サブブランド”を作る可能性も? - ITmedia

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 NTTドコモの社長が交代する。2020年12月1日から吉澤和弘氏に代わり、井伊基之氏が新社長に就任する。NTTのドコモ完全子会社化についての会見直後に、ドコモの社長交代会見が開かれ、吉澤氏と井伊氏がその経緯と、今後ドコモが目指す姿を語った。

ドコモ ドコモの吉澤氏(左)と井伊氏(右)(写真提供:NTTドコモ)

 NTTがドコモを完全子会社する背景には、3キャリアの中でドコモが営業利益で最下位に転じた状況があり、「ドコモを強くするため」だとNTTの澤純社長やドコモの吉澤氏が繰り返し語っていた。こうした“仕切り直し”の中で社長が交代する運びになった。

 吉澤氏は、NTTの完全子会社化に伴う施策として、「通信事業の競争力強化」「法人ビジネスとスマートライフ事業の強化」「研究開発体制の強化」を挙げる。これら3つを遂行し、「ドコモをさらに強くすることを託すのに井伊氏は最適だ」と吉澤氏は話す。

 「通信事業の競争力強化において、井伊氏はNTTグループのネットワーク戦略の策定や構築、効率化を担ってきた。モバイル、固定、上位レイヤーを融合した新サービス創出の能力やリーダーシップを有している。法人営業にも豊富な実績と経験を持っており、法人企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)促進に大きく貢献できる。またNTTグループの研究開発や体制強化を担い、標準化にも積極的に寄与している。グループ全体のリソースを活用したR&Dの体制強化を引っ張っていける」(吉澤氏)

 吉澤氏は2016年6月に社長に就任。2017年4月には2020年代を見据えた中期戦略「beyond宣言」を発表し、会員基盤の強化や5Gを通じた新ビジネス創出に注力してきた。「通信と非通信の両面で手応えを感じており、5Gサービスとソリューションの社会実装が相当進んでいる。社会に価値を評価いただけると確信を持てたことも、新体制への移行を決断した大きな要因」と話す。

 井伊氏は2020年6月にNTTからドコモの副社長に就任し、国際、コーポレート担当を務めてきた。同氏は社長就任にあたって「新しいドコモを創業する」と宣言。「あらゆる年代から支持されるサービスや価格を提供し、期待を上回る通信のスピードと品質を目指す」と意気込む。

ドコモ 井伊氏が掲げる新生ドコモの姿

 一方、現状で優先度が高いものは「ドコモ口座でご迷惑を掛けているので、これに対する信頼回復」と井伊氏は答える。「補償をしっかりやり、再発を防止するためにあらゆる手段を早期に打っていく」と同氏。吉澤氏も「不正チャージについておわびを申し上げたい」と謝罪。被害申告のあったうち、現在は半分ほど返金しており、一部銀行では新規登録やチャージを停止しているが、「ブランドが毀損(きそん)していることは否めない」と重く受け止めている。

 NTTの完全子会社化になった後、NTTコミュニケーションズをドコモに移管することも視野に入れているが、気になるのはNTTコムがMVNOとして展開している「OCN モバイル ONE」の扱いだ。ドコモに移管となれば、ドコモがOCN モバイル ONEをサブブランド化して提供することも考えられる。井伊氏は「何も考えていない」と述べるにとどめたが、吉澤氏が貫いてきた「サブブランドはやらず、ドコモの料金プランで勝負する」という方針が変わる可能性はある。

 「あらゆる年代に支持されるサービスと価格を目指すが、どういった戦略で目的を達成できるか。後追いでUQ mobileやY!mobileと同じものを出しても、お客さまが本当に望む姿なのか。しっかり考えて対策を打ちたい」(井伊氏)

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